「抗告人の給与収入総額は3939万9067円となる。この額は,いわゆる標準算定表(判例タイムズ1111号285頁参照)の義務者の年収の上限額2000万円を大幅に超えていることに鑑み,抗告人の基礎収入を算定するに当たっては,税金及び社会保険料の実額(1348万9317円)を控除し,さらに,職業費,特別経費及び貯蓄分を控除すべきである。」
「職業費については,抗告人の場合と年収2000万円以下の場合とでその占める割合が大きく変わるとは考えられないから収入比18.92%とすべきである。他方で,特別経費については,一般に高額所得者の方が収入に占める割合が小さくなり,その分貯蓄や資産形成に回る分が増える傾向にあると考えられる。そして,年収2000万円以下の者でも相応の貯蓄はしているはずであり,抗告人のこれまでの貯蓄額が判然としない本件事案においては,抗告人についてのみ純粋に平均的な貯蓄額の満額を控除すべきではなく,標準算定表の上限である年収2000万円程度の者の平均的な貯蓄額との差額のみを考慮すべきである(標準算定方式では,特別経費について年収1500万円以上の者について収入比16.40%との前提に立っているが,年収2000万円程度の場合でも同様の収入比に立っており,この中に貯蓄的要素を既に加味しているともいえる。)。もっとも,本件では,年収2000万円程度の者の貯蓄額と3900万円程度の者の貯蓄額との比較ができる有意な資料がないことから,その差額について推認するほかないところ,抗告人が引用する家計調査年報の,総世帯のうち勤労者世帯の貯蓄率は,年収1018万円以上が27.3%,全収入の平均が21.4%であること,二人以上の世帯のうち勤労者世帯の貯蓄率が,年収1500万円以上が31.9%,全収入の平均が19.8%であること,その他本件に現れた一切の事情を考慮して,特別経費については年収1500万円以上の者の収入比とされる16.40%とするとともに,抗告人について,総収入から税金及び社会保険料を控除した可処分所得の7%分を相当な貯蓄分と定めることとする。」